「うつ病は甘えているだけ」という意見をよく耳にします。この言葉を正面から受け止め、頑張れない自分を責めてしまっている方はいませんか?
うつ病は甘えでも根性がないわけでもなく、誰でもなりうる立派な病気です。そのため、休養をとってきちんと治していく必要があります。
そこでこの記事ではうつ病の治し方を紹介していきます。
具体的には
- ・うつ病かなと思ったらまずやること
- ・うつ病の治し方
- ・うつ病で大切なこと
の順に解説します。
この記事を読むことでうつ病の治し方がわかるのでぜひ一読ください。
目次
うつ病かな?と思ったらまず病院にいこう
「メンタルのことで心療内科や精神科に行くのは抵抗がある」
「自分の症状は病院に行くほどではない気がする」
このように思って「うつ病かな?」と思っても病院に行かなかったり、自分だけで治そうとしたりすることがあります。
しかし、それはとても危険なこと。少しでもうつ病かなと思ったらまずは病院に行くことが大切です。うつ病は風邪のようにこの日から調子が悪くなったと特定しにくく、気づいたらうつ病になっていたということが起きやすい病気です。
そのため、うつ病にかかっても自覚がなかったり、「まあいいか」と先延ばしにしたりして、病院に行かないために症状が悪化してしまうことがあります。
「調子が悪いな」と感じたらまずは病院にいきましょう。その結果、治療が必要であれば、早期に発見できたということで治療に取り組めますし、異常がなかったとしてもうつ病ではなかったということで安心できます。
とはいえ、精神科は敷居が高いと感じる人もいるでしょう。そこで、ここではうつ病の人に起きやすい症状を上げていきます。
- ・自分には価値がないと感じる
- ・1日中、憂鬱な気分が続いている
- ・以前楽しかったことが楽しくない
- ・常に疲れている
上記の症状に2つ以上当てはまり、2週間続いているであればうつ病の疑いがあります。
うつ病は発症してからはやく治療すればするほど、はやく治せるもの。「うつ病かな?」と感じたら一度病院に行きましょう。
うつ病の治し方
うつ病の治し方には主に以下の三つの方法があります。
- ・休養
- ・薬物療法
- ・精神療法
ただしどれか一つに取り組むのではなく、休養をベースとして病院で治療を受けるなど併用して治していく事が多いです。ここでは個別にそれぞれの治し方についてみていきます。
休養
うつ病を治していく上で最も大切なことが休息をとることです。職場や学校、日常生活で身体的・精神的ストレスを感じ続けている状態では、十分な治療の効果が見込めません。
しかし、うつ病になる人は責任感が強く、自分に厳しい傾向にあります。そのため、
「仕事を休んで迷惑はかけられない」
「家事をしないで休む事は良くない」
と考えてしまい、休めないということがあります。
けれども休息を十分に取らないことで、治療が長引いたり、症状が悪化したりしてしまうかもしれません。
結果的に早く治すためにも、まずは休養をとれる環境を整えていくことが大切です。
具体的には
- ・仕事、学校を休ませてもらう
- ・食事、洗濯、掃除などの家事を家族に頼む
などをしていきます。
また、自宅で十分な休養を取る場所がない場合や、自宅にいると何もしていない自分を責めてしまう場合は入院するのもひとつの方法です。
仕事、学校、家事から十分な距離を取ることで、治療に専念する環境を作れます。
うつ病の人は「常に何かをしなければならない」という気持ちになるかもしれません。しかし、うつ病は多くの場合すぐに治るものではありません。焦らずにまずは休養する環境を整えてくことから始めましょう。
薬物療法
休息と並んでうつ病の治療にかかせないのが薬物療法です。薬物療法では主に抗うつ剤と呼ばれる薬物を服用します。これは、うつ病の原因がセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの脳の神経伝達物質の減少にあるという仮説のもとに作られた薬物です。
実はうつ病のメカニズムはこの仮説のみでは説明できないところもあり、まだ解明されていません。しかし、抗うつ剤を一定期間、服用することで効果があるのは確かです。そのため、うつ病の治療では多くの場合、休養と並んで抗うつ剤が使われます。
ただし、抗うつ剤は飲んだらすぐに元気になるといったような即効性のあるものではありません。一定期間、服用し続けることで、エネルギーが低下して寝たきりだった人が散歩をできるようになったり、元気になって職場や学校に復帰できたりします。
そのため、すぐに良くならなくても焦らずに「すぐに効果が出るものではないのだ」と心において治療していきましょう。
精神療法
休養、薬物療法のほかにうつ病に有効な治療が精神療法です。精神療法ではカウンセラーや医師と一緒にうつ病の原因を探ったり、その対処法を学んだり、うつ病についての理解を深めたりします。
うつ病は再発しやすい病気です。しかし、精神療法を行うことで再発防止の効果が期待できます。
例えば、うつ病になりやすい人の性格として責任感があって、真面目であるということがあげられます。これは素晴らしいことです。けれども、完璧主義的な思考になりやすいという面があるのも事実です。
完璧主義的な思考はどうしても自分を批判的な目で見やすくなってしまいます。なぜなら、常に完璧な人間などいないからです。人間にはバイオリズムがあり、調子のいい日もあれば、調子の良くない日もあるものです。
そのため、完璧主義的な思考は自己否定につながりやすく、うつ病になりやすい傾向にあります。
このようなうつ病への原因となるような考え方をカウンセラーや医師との対話で自覚し修正していこうというのが精神療法です。
うつ病で大切なこと
うつ病はケガや風邪とは違い、小さいころから何度も経験してきたというものではないと思います。そこでここではうつ病を遠回りせずに治せるように、うつ病で大切なことを紹介していきます。
長い目で見ることが大切
うつ病は治るのに時間がかかる病気です。
「早く治したい」
「早く日常生活に戻りたい」
という気持ちになりますが焦らずに長い目をもって治療することが大切です。
うつ病には急性期、回復期、再発予防期という3種類の段階があると言われています。回復期には調子のいい日と調子の悪い日を繰り返すようになります。調子がいいと「元の生活に復帰できるのでは」と社会復帰を考えてしまいますが、これは要注意です。
せっかく良くなっていた症状がストレスにさらされることで、より悪化するという事態になりかねません。
うつ病はゆっくりと少しずつ治るものなのだということを忘れないで治療することが何より大切です。
重要な決定は先延ばしにする
調子が悪い時に重要な決定をしてしまうのも要注意です。気持ちが沈んだ状態では冷静な判断ができません。調子が悪い時は自信を失い「もうどうでもいいや」と自己破壊的な考えになりやすい状態です。
その状態で次のような大きな決断は避けるべきでしょう。
- ・会社を辞める
- ・退学をする
- ・離婚を申し込む
このような大きな選択は調子のいい時に落ち着いて考えてみましょう。うつ病はだれでもなりうる病気。決してあなたが悪いわけではありません。周りの人に気を使いすぎず、周りの人に頼ろうと考えることが大切です。
ほんの少しでいいから一歩進む
うつ病になるとどうしても自己否定的になり、自分の価値を感じられなくなります。そんなときに有効なのがほんの少しでいいから一歩進むという考え方です。
例えば、
「今日は薬をきちんと飲めた」
「今日は5分散歩できた」
とほんの少しでもいいから一歩進んだという感覚を感じます。
こんなこというと「薬を飲むのなんて当たり前だ」という人もがいます。しかし、自分の中で一歩進めていると感じれば十分。それを積み重ねることで、自分を肯定していくことができます。
何もできなくても自己否定する必要はありません。今日もとりあえず生きることができたと思うだけでいいのです。
さいごに
ここまでうつ病の治し方を中心にうつ病について紹介してきました。
うつ病は自分の気持ちや気合で治せるものではありません。また、気合が足りてないからうつ病になったわけでもありません。
自分を責めすぎず、病院に行き毎日落ち着いた生活を送りながらゆっくり治していきましょう。