障害年金とは?うつ病で障害年金をもらうための要件をわかりやすく解説

障害年金という名前をお聞きになったことはありますか?
障害年金は公的年金制度の1つになり、若くして働けなくなった場合や日常生活に支障がある場合にもらうことができる年金です。

また、障害年金は病名を問わず、うつ病などの精神疾患でももらうことができます。

障害年金をもらうには満たさなければならない要件がありますので、どうやったら要件を満たせるのかをわかりやすく解説していきます。

障害年金は公的年金の1つです

公的年金と聞くと、老後にもらえる年金のことを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

しかし、公的年金は以下の3種類があり、障害年金もそのうちの1つとなっているのです。

  •  65歳以降の老後にもらう「老齢年金」
  •  一家の大黒柱が亡くなった時にもらう「遺族年金」
  •  病気やケガで日常生活に支障が出たらもらう「障害年金

また、公的年金には、20歳になると必ず加入しなければならない「国民年金」と、会社員や公務員の方が加入する「厚生年金」があり、2階建ての年金制度となっています。

第1号被保険者…自営業・学生・無職
第2号被保険者…会社員・公務員など
第3号被保険者…会社員の配偶者など

障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金の2つ

障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金の2つに分かれており、うつ病の症状が出て初めて病院に行った日(=初診日といいます)に国民年金加入であれば障害基礎年金、厚生年金加入であれば障害厚生年金を受給することができます。

障害基礎年金は症状が重いほうから1級と2級があり、もらえる障害年金の金額は定額です。

障害厚生年金は1級から3級と一時金である障害手当金があり、厚生年金に加入していた期間や支払った保険料額によってそれぞれ異なる金額になります。

2階建ての年金ですので、例えば障害厚生年金1級と2級の方は、障害基礎年金と障害厚生年金の両方の年金をもらうことができるのです。

障害年金は何歳からもらえる?

障害年金は20歳になってから請求することが可能で、うつ病の症状が障害年金で定める基準に該当している限り、ずっと受給することができます。

障害の状態が続く限り受給はできるのですが、請求できる時期には決まりがあり、原則として65歳の誕生日の前日までに請求する必要があります。

障害年金をもらうための3つの要件とは?

うつ病で障害年金を受給するためには、3つの要件を満たす必要があります。

現在の症状がどんなに重くとも、3つ全ての要件を満たさなければ障害年金を受給することができません。
障害年金でとても重要なものになりますので、それぞれしっかり見ていきましょう。

初診日に公的年金加入していること

初診日に国民年金または厚生年金の被保険者であることが必要です。

初診日とは、うつ病等の症状で初めて医療機関を受診した日のことを言います。

よく、診断名がついた病院の初診日と間違える方がいらっしゃいますが、診断名がつくかつかないかは関係ありませんのでご注意ください。

例えば、最初に不眠や不安感で近所の内科を受診したような場合には、その内科に初めて行った日がうつ病の初診日となります。

最初の受診した病院で誤診された場合や、医師との相性が悪く1日しか受診していないような場合でも、症状が出て初めて受診したのであれば障害年金上の初診日です。

うつ病でよくある初診日の例をご紹介します。

step1
1番目の病院では「不眠症」
最初はうつ病とはわからず、不眠や倦怠感で精神科(もしくは内科)を受診したところ、不眠症と診断された。
step2
次の病院では「不安神経症」
通院しても症状が変わらず、不安感や抑うつの症状が出て別の病院を受診したところ不安神経症と診断された。
step3
現在通院中の病院では「うつ病」
引っ越しに伴い現在の病院に転院したところうつ病と診断された。
 

このような場合、2番目もしくは3番目の病院に初めて行った日を初診日としてしまいがちですが、障害年金の請求をする場合は1番目の「不眠症」と診断された病院に初めて行った日を初診日と考えますので注意してください。

また、以下に該当する方は初診日に公的年金に加入していなくても構いません。

  •  20歳前に初診日がある方(厚生年金の被保険者期間の場合を除く)
  •  公的年金に加入していた60歳以上65歳未満の方

一定の保険料を納付していること

障害年金を受給するには、一定以上の年金保険料を納めていることが必要です。

未納期間や滞納期間があったら受給できないのではなく、次の2つのうちどちらかを満たしていれば大丈夫です。

ちなみに、保険料の納付要件を見る場合には、初診日の前日の時点でどれだけ納めているかを見ていきます。

それは、初診日以後に年金保険料を納めてもそれはカウントしないという理由からです。

加入期間の3分の2以上を納付していること

初診日の前日時点において、初診日がある月の前々月までの公的年金加入期間のうち「保険料を納めた期間」と「保険料免除期間」を合わせた期間が3分の2以上あること。

簡単に言うと、全体の3分の1以上未納がなければ大丈夫です。

直近の1年間に未納期間がないこと

初診日の前日時点において、初診日がある月の前々月までの公的年金加入期間のうち、直近1年間に未納期間がないこと。

注意
初診日において65歳未満で、かつ初診日が2026年4月1日以前になければなりません。

うつ病の状態が等級の基準に達していること

障害の状態が、障害年金で定める等級の基準に該当していなければ、障害年金は受給できません。

その等級の基準を定めているものが障害認定基準で、病気や障害の種類ごとに細かく基準が明記されています。

うつ病の障害認定基準

うつ病は精神の障害に含まれ、精神の障害の基準はおおまかに以下のとおりです。

1級
高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
2級
気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又は頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級
気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくはないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

障害を認定する日について

障害を認定する日については法律で決まっており、障害認定日と言います。

初診日から1年6か月を経過した日に障害の等級に該当するような症状があれば、その日に障害年金を請求することができます。

また、障害認定日にはまだ症状が軽く障害の等級に該当しなかったが、その後症状が悪化して障害の等級に該当するようになった場合には、現在の状態で障害年金を請求することとなります。

障害年金を請求する時期は、「障害認定日」か「現在」のどちらかになります。

障害年金でもらえる金額とは?

障害年金は障害基礎年金か障害厚生年金のどちらをもらうか、またもらう等級によっても年金額が異なります。

例えば、初診日に国民年金加入だった方がもらう障害基礎年金は定額になり、2級は780,900円で1級はその1.25倍の976,125円になります。

障害厚生年金は保険料を支払った期間や支払ってきた額によってそれぞれ異なります。

また、障害基礎年金を受給する方に18歳の3月末までの子供がいる場合には1人につき224,700円(3人目以降は74,900円)が加算されます。

障害厚生年金の1級と2級を受給する方に配偶者がいる場合には、224,700円が加算されます。

以下にわかりやすい図を用意いたしましたので、ご参考になさってください。
(金額はおおよその金額です。)

さいごに

うつ病で障害年金をもらうために重要なことや、障害年金の金額についてご説明させていただきました。

うつ病で働けなくなり収入が途絶えても、障害年金をもらうことによって少しでも経済的な不安が解消される場合が多いです。

今後の人生や療養のためにも、ぜひ障害年金を受給することを検討してみてください。